石川県健康福祉部交渉を実施しました

石川県健康福祉部交渉を実施しました

日時:2025年11月27日(木)10時~12時

会場:県庁10階1002会議室

 

冒頭、松浦代表委員よりあいさつの後、要望書を手渡しました。

Ⅰ. 子育て支援について(子育て支援課 奥村課長)

石川県は令和5年度から子ども医療費助成の所得制限を撤廃し、入院・通院の対象を高校卒業前まで拡大しました。多くの市町はすでに18歳まで無償化しており、県は拡大した財源を活用した市町の施策を支えています。子どもの医療費に地域差があってはならないとの考えから、県は全国知事会を通じて全国一律の制度を国に求めています。

保育士配置基準については、国が一部改善を進めていますが、国際水準から見ても十分とはいえません。家庭環境の変化により支援が必要な子どもが増える中、公立保育園の減少で受け皿が不足しています。物価高騰により給食・教材にも影響が出ており、県には配置改善や加配の後押し、予算の充実を求める声が上がりました。

生活実態として、歯科検診の費用負担や金沢市だけの3割負担への不公平感が示され、県が無償化を主導するよう要望しました。県は金沢市にも働きかけているものの、拡大には予算確保が必要で時期は示せないと回答しました。地域間格差の是正に向けて検討を続けるとしています。

Ⅱ. 高齢者の医療・福祉・介護の充実について

補聴器購入助成について

補聴器購入助成について、加齢性難聴は生活の不便に加え、認知機能低下にも影響する可能性があることが説明されました。国では現在、加齢性難聴と認知症の関連や、補聴器装用が予防に寄与するかを研究しており、県としてはその結果と国の制度動向を注視するとしています。一方、全国では市町村レベルで助成制度が急速に広がっているものの、石川県には自治体レベルの制度が一つもなく、47都道府県のうち助成制度がないのは石川・福井・香川の3県のみであることが指摘されました。金沢市や白山市などで12月議会に請願提出の動きが広がっていることから、県としても必要性を認め、財源面も含めて制度創設を後押ししてほしいとの強い要望がありました。

担当課長からは、東京都や山梨県のように所得制限付きで助成する例はあると紹介がありましたが、補聴器は高額で数年ごとの買い替えが必要になるため、市町には財政的負担が大きいとの認識が示されました。県としては、全国の制度(所得制限、助成額、対象条件など)を整理し、県内市町へ情報提供することから進めたいと述べました。制度の中身は自治体ごとに異なるものの、まずは条件付きでも制度を作り、段階的に拡充するという発想が重要であり、県がその流れをつくるべきだとの意見が出されました。

介護職員の処遇改善・人材確保について

介護職員の処遇改善については、県はこれまでも全国知事会を通じて国に要望してきており、来年度の臨時報酬改定の議論を注視すると説明しました。訪問介護の基本報酬引き下げについては、「職員確保が困難」「事業継続が危うい」「在宅介護の基盤が崩れる」といった深刻な声が現場から寄せられていることが報告されました。

  • 訪問介護事業所への緊急アンケートを実施

県内訪問介護事業所を対象にした緊急アンケートでは、88%が「経営が悪化した」と回答し、燃料費・光熱費・衛生用品など物価高騰の影響が大きいこと、人材不足で高齢の職員が現場を支えていること、総合事業の単価が低く赤字訪問が生じていることなどが明らかになりました。能登地域では事業所の廃業・統合が相次ぎ、訪問介護が「使いたくても使えない」地域が生まれつつあるとの危機感が共有されました。

県からは、これらの課題は県の把握している状況と一致しており、訪問介護が在宅介護の柱であるとの認識を持ちながら、物価高騰対策、人材確保イベントの開催など、できる支援を継続しつつ、国への働きかけも進めると回答しました。能登地域では復興の進捗により介護ニーズが変化していくため、状況を注視しつつ対応していく姿勢が示されました。

Ⅲ. 医療、介護、福祉の提供体制を守る施策について

緊急的な財政支援について

緊急的な財政支援について県は、医療機関が公定価格である診療報酬に依拠しているため、物価高騰や人件費上昇を価格へ転嫁できず、経営が極めて厳しい状況にあると説明しました。そのため、診療報酬改定までのつなぎ措置として、電気代・燃料費などの高騰分を補填する財政支援を令和6年度と令和7年度の補正予算で実施したと報告しました。物価高騰が続く中、今後も追加支援の必要性を検討する姿勢を示し、併せてICT機器導入や診断書作成補助者の確保など、医師等の業務効率化を支援していると述べました。

診療報酬の大幅引き上げについては、地域の医療提供体制を維持するためには、物価・賃金の変動が適時かつ正確に反映される仕組みが不可欠であるとの考えを示しました。県としては全国知事会を通じて、診療報酬改定の見直しを国へ継続して要望していると述べました。

能登半島地震被災者の医療・介護の窓口負担免除について

能登半島地震被災者の医療・介護の窓口負担免除については、最終判断は保険者である17市町と広域連合が行う仕組みであり、これらの保険者が総合的に勘案し、今年6月末で免除を終了したと説明しました。一方、社保協からは、市町との懇談で「財源があれば続けたい」という声を複数確認したこと、仮設住宅の訪問調査では「タクシーを使わないと受診できず負担が重い」「物価高騰で医療費が払えない」「がんで毎月6万円かかり限界」と深刻な訴えが多数寄せられていることが報告されました。また、被災者は要望を出す余裕がなく「声が上がらない」構造があり、実態が過小評価されやすいと指摘しました。

県は、能登町・輪島市など被災規模が大きい自治体については、国の財源支援が手厚く、市町の直接負担は必ずしも大きくない場合があると説明しました。しかし、地震後は医療・介護の利用増により国保財政が圧迫されており、災害時の特異な医療費を国保財政だけで支える現行制度には限界があるとして、国に安定的財政支援を求めていると述べました。免除再開の是非については、各市町が財政状況や被災状況を踏まえて適切に判断しているとの立場を示しました。

社保協からは、免除終了から5か月が経過し、受診抑制や健康被害が現に広がっていると強い危機感が示されました。「健康被害が出ているのに県が主体的に判断しないのは理解できない」「千年に一度の災害であり、岩手県のように長期の免除継続を検討すべきだ」と訴えましたが、県としての明確な回答はありませんでした。

Ⅳ. 国民健康保険について

子どもの均等割保険料の免除について

子どもの均等割保険料の軽減は、本来国が全国一律で対応すべき制度であり、県独自の上乗せは考えていないとの説明がありました。しかし、県内で均等割を廃止するために必要な額は約3億1,500万円と比較的小さく、穴水町は40万円程度で実現できる規模です。他の医療保険には子どもへの均等割は存在しないため、国保だけが「子どもにも保険料がかかる」不合理な制度であり、県が積極的に仕組みを整えるべきだと強く要望しました。県は国でも見直し議論が進んでいることを認め、動向を注視すると述べました。

マイナ保険証・資格確認書について

マイナ保険証について県は、医療DXの基盤として重要であり、利用促進を進めると説明しました。しかし、利用率は全体で4割、小児では2割と低く、保険証廃止を強制するのはおかしいとして、健康保険証の復活と「使いたい人だけが使う仕組み」を求めました。県は過渡期の混乱を認めつつ、「受診できない事態は避けなければならない」と述べました。

特別療養費(旧:短期保険証・資格証明書に代わる仕組み)について

特別療養費制度については、機械的運用を避け、納付相談や特別事情の確認を丁寧に行うよう国の通知を踏まえて市町へ周知しているとし、適切に運用されているとの認識を示しました。

Ⅴ. 心身障害者医療費助成制度について

県の制度は昭和49年に開始され、令和2年には共生社会づくり条例を踏まえ、身体障害者手帳・療育手帳1級まで対象を拡大してきました。精神2級の拡大については、県議会での意見書採択や7,000筆を超える署名を把握しているものの、県は「医療費助成は全国一律で行うべき」との立場から、県単独での拡大ではなく国による制度化を求め続ける方針を示しました。

県が精神2級を対象外とする理由として、障害年金1級が身体障害1・2級に相当し、精神手帳では1級のみが該当するという点を参考にしていると説明しました。しかし、松浦医師からは、精神障害者は併存症が多く寿命も短い傾向があり、精神2級でも重度の生活困難を抱えるケースが多いこと、手帳等級と障害年金等級は一致せず単純比較は不適切であることが指摘されました。当事者からも「働けず生活が苦しい」「医療費助成は切実」との声が寄せられました。

社保協は、市町から「県が財政支援すれば実施したい」という声が多かったと報告しましたが、県側はアンケートでは半数以上が慎重だったと述べ、認識の違いが見られました。県は精神障害者の困難を理解し相談支援体制も強化しているとしつつ、財政負担や市町の理解を理由に「県単独での拡大は現時点では困難」と述べ、慎重姿勢を維持しました。7,012筆の署名については「重く受け止めている」と回答しました。

Ⅵ. 生活保護について

生活保護については、基準引き下げの最高裁判決への国の対応、扶養照会の運用、冷暖房器具費の扱いが主な論点となりました。県はまず、国が11月に総理・厚労大臣の双方で判決を受け「反省とお詫び」を表明し、専門委員会の検証を踏まえて減額分の一部追加給付や原告への特別給付金支給方針を示したことを説明しました。今後の具体的な給付内容については国の方針を注視するとしています。

扶養照会については、履行が期待できない場合は直接照会を行わないという国の通知に基づき、県として各福祉事務所へ適切な指導を続ける方針を示しました。また、申請者の生活歴を丁寧に聞き取り、寄り添った対応を徹底したいと述べました。

冷暖房器具費は、生活保護では原則として保護費のやりくりでまかなう仕組みで、エアコンは保護開始時など特別な事情がある場合のみ支給対象となります。夏季加算や冷暖房費の拡大は国の検討事項であり、県としても生活保護制度の見直しを全国知事会を通じて求めているとしました。

これに対し社保協は、国が最高裁判決に反し独自の再計算を行うのは三権分立に反すると強く批判しました。また、猛暑下で生活保護受給者がエアコンを使えない実態は「健康で文化的な最低限度の生活」に反するとし、県からも国へ改善を強く求めるべきだと要望しました。県は物価高騰による生活環境悪化を重く受け止め、引き続き国に見直しを求めていくと回答しました。

以上