医療保険と一部負担金

医療保険と一部負担金

医療保険と一部負担金

①医療保険の種類

国民皆保険制度で、すべての人が何らかの健康保険に加入することが義務づけられています。医療保険の種類は、次の通りです。

職場に勤める人を対象とする保険 
協会けんぽ(全国健康保険協会)
健康保険組合
船員保険
国家公務員共済組合
地方公務員等共済組合
日本私立学校振興・共済事業団

自営業・高齢者等を対象とする保険
国民健康保険

75歳以上(65歳以上心身障害のある人)を対象とする医療制度 
後期高齢者医療制度
 

②医療費の種類

(1) 医療費の一部負担
医療機関で、診察、検査、薬などにかかった費用の一定割合の自己負担です。2003年4月に健康保険が3割負担となり、加入している医療保険による負担割合の違いはほとんどなくなりました。

一部負担金

保険証等を提示して保険医療機関で医療を受けたときや保険薬局で薬の調剤をしてもらったときは、保険医療機関等の窓口でかかった医療費の一部を支払います。これを一部負担金と言い、本人・家族、入院・外来にかかわらず、年齢等によってその負担割合が区分されています。

一部負担の割合 年齢 負担割合
小学校入学前 2割
小学校入学以後70歳未満 3割
70歳以上 2割(現役並み所得者は3割)
75歳以上 1割(現役並み所得者は3割)

 

※平成26年3月31日以前に70歳になった被保険者等(誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方)については、引き続き一部負担金等の軽減特例措置の対象となるため、平成26年4月1日以降の療養に係る一部負担金等の割合は1割のままです。

現役並み所得者とは

現役並み所得者とは、70歳以上の高齢受給者のうち、標準報酬月額が28万円以上の被保険者とその被扶養者です(被保険者が70歳未満の場合は、その被扶養者である高齢受給者は、現役並み所得者とはなりません)。ただし、高齢受給者の被保険者・被扶養者の年収合計額が520万円(高齢受給者である被扶養者がいない場合は383万円)未満であるときは、申請により2割負担(ただし、誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方は1割負担)となります。

(2) 入院給食費の一部負担 入院したときの食事にかかる定額負担です。市町村民税非課税世帯等の場合、申請すると減額になります。
   <1日の標準負担額>
   平成30年4月~   ⇒ 1食につき 460円
  <住民税非課税世帯の方>  ⇒  1食につき 210円

(3) 保険外負担 診断書料、差額ベッド料、電気代などです。

(4) 介護保険の一部負担 利用したサービスの費用の1割が自己負担です。介護保険制度ではありますが、医療費の助成制度の中には、医療費に準じて助成の対象としている場合があります。

 

③医療費助成制度

医療費の一部負担金に対して、いろいろな助成制度や減免制度があります。助成制度は健康保険を使って生じた一部負担金に対して行うものですから、公費負担医療の受給者になったからといって、国民健康保険や健康保険への加入が不要なわけではありません。(生活保護、労災保険は除く)

医療費の支払方法には二通りあります

医療機関の支払窓口で減額・免除され支払がない =現物給付(げんぶつきゅうふ)  
医療機関の窓口で支払った後で市町村に返還手続きをする =償還払い(しょうかんばらい)
利用者にとってはお金の心配をせずに受診でき、払い戻しの手続きのため市町村の窓口に行かなくてもよい現物給付が一番利用しやすいのですが、残念ながら現物給付の制度から、償還払いの制度へと移行している傾向があります。

④無料低額診療について

 

差額ベッド料の請求と患者の同意

差額ベッド料の請求は、「患者への充分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われ」「同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受ける」「特別の料金を求めることができるのは、患者側の希望がある場合に限られるものであり、救急患者、術後患者、治療上の必要から特別療養環境室(差額ベッド料を請求できる病室)へ入院させたような場合は、患者負担を求めてはならない」という厚労省通知に基づいて行わなければなりません。 「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者の主体的な医療への参加を呼びかけているCOMLでは、国会議員の協力を得て、差額ベッド料について政府に質問主意書を提出し、以下の答弁書を得ています。なお、この内容は厚労省からも正式に通知されています。

(1)感染症の患者が同意したうえで特別療養環境室に入院した場合は、差額ベッド料を請求できるが、主治医などが患者の選択によらず入院させた場合は、請求してはならない。
(2)特別療養環境室以外に空きベッドがない場合、緊急を要し、患者の選択によらず特別療養環境室に入院させた場合は、請求してはならない。
(3)患者の希望ではなく、病院から申し出た場合、強制であってはならないが、明確・適切な説明のうえで患者の同意があれば、請求は適切である。
(4)同意書には、明確・適切な説明の後、料金を明示したうえで、患者側の署名を受ける必要がある。